薔薇の薫りが苦しくて

近年、お出かけといえば花を見に行ってばかりいるような気がする。
長らくの雨続き、ようやく青空に恵まれたその日は平日ながらたいへんな人出であった。好天なら分散していたであろう人たちが、たまの晴れ間にどっと押し寄せたのだ。
横浜イングリッシュガーデンでの話である。

平塚にある花菜ガーデンに行くか、あるいは横須賀のくりはま花の国に行くかで直前まで迷ったが、平塚は去年2度行ってるし、くりはまのポピーやネモフィラよりやっぱ今はバラでしょう。1800品種、2000株のオンパレード。ゆったり広々という点で他の2カ所には大きく劣るが、これでもかとばかりに凝縮された迫力は凄まじい。

咲きほこるそんなバラの盛りを待たず、中学時代の友人Kがひっそり逝った。死因は急性心筋梗塞。
ぼくとはラグビー部で一緒だった。2年の時は同じクラスでもあった。彼を通じて知り合い、後にぼくの親友となった男が第一発見者だった。訃報はこうして中学時代の友人間に伝わっていったのだが、Kのスマホにはロックがかかっていて、それ以外の交友関係をたどることはできなかった。

そこで次に登場するのがうちのマダムだ。実は彼女、Kと同じ高校に通っていた。つきあいはなく、彼と親しかったのが誰なのか見当もつかなかったが、とりあえず同窓会幹事に知らせてみた。そこから幹事は、Kと親しかった連中に悲しい事実を伝えることになる。
1週間後に発見されるという孤独な死をKは遂げたが、その情報が伝わっていく先々には嘆き悲しみ悼んだり思い出を語る人たちがちゃんといて、淋しい人生ちゃうやんなぁ、友だちには恵まれてたやんなぁと、マダムとぼくとはちょっと泣きそうになったのだった。

最後にKと会ったのは5年前の同窓会。前年度近畿大会優勝校だったうちの部がなぜ弱体化したのかについて語った。指導者の不在が一番だとぼくは今でも信じているが、実戦不足を彼が強く主張するので、まぁそういうことにしておいた。そういうつきあい方をずっとKとはしていたような気がする。

高1の晩秋、最寄り駅まで戻ったところ、私服のKがぼくの帰りを待っていた。これから「ヤングヤングおー!おー!」を観に行くぞという。当時人気の公開バラエティ番組。その観覧券が当たったというのだ。 番組収録についての記憶がほとんどない中で、今月の歌というコーナーでシモンズが「ふるさとを見せてあげたい」を歌っていたことだけは覚えている。放送からしばらくたった新年、Kから届いた年賀状にはこうあった。
「俺が席を替わってやったから、おまえがテレビに映ったんやんけ」

ありがとな。
何年後かにまた会おな。
元気でな。
って、あとはもうずっと元気やろ。
ほな、さいならー。

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